大休止の印度軍                     於  龍稜

 

 この絵も ウチにあったので 小さい頃から見慣れている

 懐かしい絵です。

 

 いつも額に入っていたので 額の縁に隠れていたタイトルを

 見たことがなかったのですが、今回額を外してみたら、

 大休止の印度軍 というタイトルが 現れました。

 

 大休止 という言葉、聞きなれない言葉ですが 小休止というのは

 聞いたことがあります。

 調べたら、小休止、中休止、大休止 というのは、軍隊の用語でした。

 

 大休止というのは 長い休息。

 この絵のインド兵たちは、ショベルを置いているところをみると

 工兵なのか、くつろいだ雰囲気が漂っています。

 

 どうして、インド兵たちを間近にスケッチできたのか?

 疑問でしたが、ビルマ戦線のことを調べてわかりました。

 インドは 自国の独立のため、自由インド仮政府を樹立、

 日本軍の支援により インド国民軍が結成されていました。

  ビルマ戦線参照

 

 ミヤザキのいた部隊、工兵部隊でしたので 協力関係にあった

 インド国民軍と 土木工事を共にしていたのだと

 思われます。

 

 今回、そのようないろいろな歴史の背景を知ることになったわけ

 ですが、

 ミヤザキの描くスケッチには

 国の思惑や、時代と関係なく ひとりの人間の絵のモデルとして

 様々な人たちが 登場しています。

 

 


雲南の楼閣 (仮名)                  於 雲南

 

  この絵には タイトルが無かったので 仮のタイトルをつけました。

 雲南のどこかの 楼閣ですが、どこなのかはっきりわからないものの、

 検索してみると、大里市というところに 似た場所があります。

 

  大里旧市街という 観光名所になっている場所、ここの写真がこの絵に近いような気がします。

 この絵も 門の両側はお店のようなつくりで どことなく観光地のような

 雰囲気です。

 

 昔からこのあたりは 交易の要衝地だったのですね。

 少し反った屋根が印象的です。

 

 

 

 


雲表の甍                       於  龍稜

 

 この絵も 上の大里市らしき建物と似ているのですが、於 龍稜 とあるので

 別の場所だと思い、龍稜の寺院を検索してみました。

 

 雲南省竜稜(現在の表記は竜) 寺院で 検索すると 寺院がいくつかでてきます。

 その中で 比較的近い感じなのは、五雲寺 かな? と思ったのですが……

 

 雲南省の寺院、屋根が反った建物が特徴的なようです。

 

 

 


滇緬公路 援蒋物資貯積場               於 龍稜

 滇緬公路というのは、ビルマ公路とも言われた軍用ルートで

 連合軍が蒋介石に援助物資を送るために使われていたルートです。

 

 日本軍は、このルートを制圧することに成功し、

 連合軍は 空路からの援助と レド公路と呼ばれる別のルートの建設を

 しなければならなくなりました。

 →ビルマ戦線

 

 この絵は たぶん、連合軍が去ったあとの

 物資貯積場を描いたのではないかと 思うのですが、

 よく見ると、左側はトラックが横転しているようにも

 見えるし、どことなく 雑然とした感じです。

 

 ミヤザキは、絵のモチーフとして 選んでいるわけですが、

 険しい山岳地帯に突如現れた 置き去りの物資

 珍しくブルーの色が印象的な一枚です。

 

 

 


頽廃                       於  龍稜

 

  陽の光が壁にあたって 影とのコントラストが印象的な

  この建物、「頽廃」 というタイトルが ハガキを貼ってあった黒いラシャ紙に

  書かれていました。

  「頽廃」 とは、「建物が傷んで崩れること」  なのですが、

  古い廃墟なのか 戦争で崩れたのか定かではありません

 

  緑と赤の色あいも 古い建物に似合わない色のような

  気もします。